博多祇園山笠
祇園祭というと、京都の祇園祭が有名ですが、博多にも祇園のつくお祭りはあります。
博多祇園山笠は1241年に始まった770年以上も歴史のあるお祭りです。
このお祭りは、女人禁制のお祭りとして、知っている方もいるかもしれません。
2019年の博多山笠の日程や、
現代でも続く女人禁制以外の禁忌についてもご紹介していきます。
日程
2019年の日程も、例年同様7月1日~15日までの15日間あります。
博多祇園山笠は、本来は櫛田神社のスサノオノミコトに奉納を
するための行事として行われています。
初日には、事故などがないように注連縄を張って、お浄めをします。
その後、それぞれの山笠を神官が回って神様が入れるようにするご神入れ、
箱崎浜まで行って、お汐井と呼ばれる細かい砂を取ってくるお汐井とりの行事などがあります。
13日には集団山見せがあり、盛り上がりも絶頂になってきます。
最終日の15日には、未明から追い山笠が集まり、
午前4時59分の大太鼓の合図とともに大合唱が始まり、
全長5kmのタイムレースが始まります。二番山笠は午前5時5分で、5分間隔で行われます。
山笠は、高さ15m以上、重さ1tもの大きさで、疾走するので、迫力のあるレースです。
櫛田神社、大博通り、明治通り、昭和通りが山笠のルートになっています。
この追い山笠は、本来は豪華さを競い合いながら、町を歩く行事でした。
しかし、江戸時代に博多祇園山笠の一つのグループである、土居流が休憩をしていたところ、
他のグループの石堂流(現在の恵比須流)に追い越されたことがきっかけとなり、
2つのグループが速さを競うレースをすることになりました。
これが、当時の町民に好評だったことから、
現在でも山笠を担いでスピードを競う追い山が続いています。
(博多祇園山笠2017~追山笠 一番山笠 中洲流櫛田入り~)
禁忌
博多祇園山笠は、山を神様に奉納する神事で、禁忌があります。
禁忌は、言い伝えであり根拠はありませんが、山笠期間中は守らなければならないことがあります。
それが、胡瓜断ちと女人断ちです。
山笠期間中は胡瓜を食べてはいけません。
それは、輪切りにした胡瓜の切り口が、山笠の祭神スサノオノミコトの
ご神紋であるボケの花に似ているからです。
770年以上経った今でも、7月1日~15日の期間は、
小学校の給食でも、胡瓜は出ません。
山笠に参加する男性たちは、山笠行事の開始となるお汐井取りにて、身を清めます。
身を清めたことにより、この日から山笠の奉納が終わる15日まで、
女性との接触を避ける必要があります。
以前は「不浄の者はいるべからず」と張り紙がありました。
日本の神様だけでなく、一部では、血・肉は不浄とする考え方があります。
そこで、子どもを産む女性=不浄というイメージがあり、女性は禁制になりました。
しかし、現在はこの張り紙はなくなっています。
また、子ども山笠には、一部のグループでは女の子の参加が許されています。
歴史
博多祇園山笠は、鎌倉初期の1241年に博多に疫病が蔓延した際に、
承天寺の住職が町に水をまきながら清めて、
疫病を追い払う祈祷をしたことが始まりです。
また、安土桃山時代に島津氏と豊臣氏の戦いにより、
焼け野原になった博多の町並みをいくつかの区画に分かれて、
グループを作ったことが博多祇園山笠の土居流などの流の始まりです。
流は、8つあり恵比須流、大黒流、土居流、東流、西流、中洲流、千代流、福神流です。
福神流を除く7つの流で、山笠当番を決めます。
当番町で一番山を担当するのは、最大の栄誉ですが、当番町も一番山も7つの流で
持ち回りとなっているので、滅多になることはありません。
まとめ
博多祇園山笠の山笠は、国の重要無形民族文化財に指定されていて、
ユネスコ無形文化遺産にも登録をされている歴史のあるお祭りです。
祇園祭というと、優雅に歩くイメージがありますが、
博多祇園山笠は、レースのように競い合う、勢いのあります。
暑い夏、活気あふれる博多祇園山笠を見て、
暑さを吹っ飛ばして夏を元気に乗りきりましょう。